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2019年10月5日土曜日

HANON


もう、30年以上も前から、なにか事あるごとに全音の「HANON」の1番のページを開いて練習している。

ハノンの一番最初の練習曲の楽譜の前に、こう書いてる。

どの指も、
  • すばやく動く
  • 1本ずつ独立させる
  • 力強くなる
  • つぶを揃える
ための練習

本気でピアノ弾きになりたいと思っていた頃は、ほとんど毎日のようにこの楽譜を開いて、ピアノを上手く弾けるようになるために弾いていた。

自分にはその才能は開花しないと思い知ったあとも、事あるごとにこのページを開いて噛みしめるように読んでから、おもむろにハノンの1番から30番までを弾くようにしている。

弾くたびに、弾きながら何度も同じような思いを確かめるように心のなかで繰り返す。

「バカみたいに同じ基礎練習をやればやるほど、高い壁のように思えて弾けなかったフレーズがいずれ弾けるようになる」

20代の頃、自分よりも遥かにレベルの高いメンバーの中でキーボードを弾いていて、いつも目一杯でしがみついていた頃から、ずっとやり続けていたルーチンだ。
50歳を過ぎた今になっても、何かあるたびに必ず開いてひたすら弾く。
音楽ともピアノとも関係ない話なのに、追い詰められて、自分の力の無さを痛感して、心が折れそうになるたびに、ここへ戻ってくる。

僕にとって、「ハノン」は絶対だ。
運指の練習は絶対に裏切らない。絶対にだ。

それが、今の自分の仕事に具体的に何か役に立つわけじゃあない。
けれど、ギリギリのギリギリまで追い詰められた時に、ハノンの練習を思い出して一心不乱に3時間も4時間も、ひたすらハノンだけを引き続けるルーチンは、終わってみるといろんな心のモヤモヤを吹き飛ばしていてくれる。

今日は、久しぶりに30番まで一気に弾き切るルーチンを10回以上も繰り返しながら、無心になることでいつの間にか心のバランスを取り戻していた。

やっぱり、「基本を何万回も繰り返す」・・・これが僕にとっての唯一自信の拠り所となるノウハウだ。

40年以上、ハノンを弾き続けている自分の人生に恥じないように、もう一度チャレンジしようと、心を奮い立たせた土曜の晩^^

ちなみにこれは僕の、本当に僕だけの価値観・ルーチン。誰に押し付けるわけでもないし、同じピアノ弾きでもこんな事を言うのはきっと世界中に僕一人くらいのもんだと思う。


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