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2019年8月22日木曜日

魂の叫び

面白おかしく、言いたいことを言いたい放題言うのを信条にしているこのブログですが、今回の記事は面白おかしく書きつつも、心底真剣に世に問いたいと思う内容なので、クローズドなFacebookのタイムラインに書かずにブログに書いてアップしておきます。

今日、ある支援機関さんでIT活用の推進とその知識・ノウハウというテーマの研修講師をしてきました。
研修そのものは概ね好評だったのですが、その中でいくつか、僕の心にグサリと突き刺さる質問をいただきました。

【巡回指導は今後どうなっていくのですか?】
クラウドの利用・ネットの活用を本気で推進していくと、「事業所へ訪問して記帳指導したり、領収書や帳票を預かって入力の手伝いをする」という業務がどんどんなくなっていく。
ウチに限らず同様の支援機関では「記帳指導」が収入源の大きな柱だったはず。また上の組織からも「どのくらい訪問回数をこなしたか?」を報告書として提出するよう求められている。
そういう状況の中で「帳票を預かるためだけ」「データを確認するためだけ」に訪問する必要が一切なくなるとなったら、一体私たちは訪問巡回指導にどう取り組めばよいのか?

この質問は、この支援機関に20年近く在籍してその間ずっと地元の事業所への訪問・巡回指導を続けてきた、周囲からも非常に評価の高いスタッフの方からの質問だ。

ITやクラウドを、本当に掛け値なしで、マジで本気で活用に取り組んだら、頑張れば頑張るほど、支援機関さんの「従来の」巡回指導は全く意味をなさなくなる。
その結果、主たる収入源となる「記帳指導」の収入が激減することになる。
仕事を一生懸命して地域の小規模事業者さんを本当に支援したいと思っているスタッフさんからの、魂の叫びとも取れるような質問だ。

私も、不勉強なところがありこの質問というか指摘には、即座には十分にお答えできなかった。そのことを付記した上で・・・

世の中の「支援機関を統率し、牽引する立場」にある全ての方たちに、この場を利用して明確に問いたい。

あなたたちは、下部組織・全国津々浦々の地域の支援機関に対して「訪問巡回指導を一生懸命行うべし」と指導しているが、今後は従来前とした「記帳指導のための訪問」は存在そのものが危うくなることが目に見えている。
この状況下で、あなた達が旗印の一つとして掲げているIT活用やクラウド活用を本気で推進したら、何十年も地域の事業者さんの支援に携わり、明に暗に事業者さんの下支え・伴走をしてきた経験豊富で優秀なスタッフさんたちの立ち位置・居場所をあっという間に奪い去ってしまうことになる。
これら優秀な支援機関職員さんたちの経験値やノウハウ・現場力を、あなたたちは今後どうしていこうと言うのか?そのまま立場を失って失職して、人員削減できればそれで良いとでも思っているのか?

彼ら彼女らの質問や悲痛とも言える意見を聞きながら、「これは森金融庁長官が数年前に断行した銀行改革と全く同じ構造じゃないか」とつくづく思った。
仕事に一生懸命な、そして上からの指示・命令に一生懸命に対応してきた現場職員を、自らの政策・思惑ではしごを外すようなマネをシて・・・その先を描けなければ、貴重な人材を失うことになるだけではないか!

小規模事業者への支援の重要性を認識し始め、同時にITやクラウドの活用で事業そのものの大転換の必要を周知するという想いは分からないでもないが・・・そうやって引っ掻き回しても、「本当に小規模事業者にあるべき支援を実行できる」支援者・支援機関スタッフを育てなければ、何も進展しないではないか!!!

カタチだけ先行して枠にはめても、それを支える専門の知見と経験値を持っている専門家をきちんと排出しなければ、この方向性は途中で一気に瓦解してしまう。

もう一度書く。
世の中の「支援機関を統率し、牽引する立場」にある全ての方たちに、この場を利用して明確に申し上げたい。

国を束ねる立場の人よ、意思決定を司る人よ、そしてその実行を担うトップの人達よ。
うわっつらだけの「なんちゃって支援者」(→どこのどんな人のことを言っているのかわからないというのなら、私に直接問うてくるがいい。ここではないクローズドの場で、はっきり名指しをさせていただく。)ではない、「本当に小規模事業者支援を担える知見を持つ人材」を、本当に泥臭く実地で育て、世の中で活躍できるようにするのが、何よりも最優先だろう?

国の8割以上を支える事業所数の経営者(=小規模事業経営者)。
そのほんの数十しか私は実際に見聞きしてはいないが、少なくともこの数十の経営者の方たちは、あなた達の今やっている「机上の空論の政策や支援ノウハウ」は全く求めていない。

頼む、お願いだから地に足のついた、本当に実効力のある支援をシて報われるように、動いてほしい。

そんなことを、本気でIT活用に取り組むための研修講師を努めて、懇親機で忌憚ない想いや意見を聞いて、感じて帰ってきた次第。

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