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2018年1月20日土曜日

吸込仕事率が分からなかった(笑)

毎度七面倒臭い記事をひとつ^^;。

以前中途入社で採用していただいた家電量販店で、入社直後の実店舗で店頭販売実務の研修を受けていた頃の話。

家電量販店勤めの経験がない僕に、いきなり金額の大きい、しかも様々な専門知識が必要なエアコン売り場とか、テレビ・オーディオ売り場なんかは無理だろうと、まずは持ち帰り商品の売り場に立てと指示されて、掃除機とかドライヤーとか、そういう小物家電(というのかな?)の売り場で販売の仕事を2週間ほどしていたことがありました。

初日、平日のお昼過ぎに見た目60歳くらいのご夫婦が来店されて、掃除機売り場で色々見ていたので「もしよろしかったら何かお手伝いしましょうか?」と声をかけたら、ご主人の方がこう質問してきました。

「値段の表示の横に吸込仕事率200Wとか220Wとか書いてあるけど、200Wと220Wでは何がどのくらい違うの?」

初日から、僕は頭の中真っ白^^;!
だって吸込仕事率なんて言葉、聞いたことなかったし(笑)・・・いや今どきの家電量販店のスタッフさんなら、こういうこともきちんと習得して売り場に立ってるんだと思いますが^^;・・・当時家電量販店てどこでもどんどん店舗が増えていた頃だったので、こういうまだ何も知識がない従業員でもとにかく売り場に立たせて実践で揉まれながら覚えさせるということも普通にやってたんですよね^^;。

で、その場で「分かりません」というのはダメに決まってるし、接客販売の仕事の経験上(←家電量販は未体験でしたけど小売・販売の実践経験とノウハウはそれなりに持ってたんです^^v)「調べてきてお答えしますので少々お待ちください」などと言ってバックヤードへ駆け込んで教えてもらってくるなんていう対応は絶対にダメだということ(昨今はむしろそのほうが良いんですけど、当時は、ね^^;)も知っていた僕としては・・・しかも僕の方から「お手伝いしましょうか?」と声かけちゃってるので・・・もうその場で何とか答えるしかなかったもんで、そのお客さんの目の前で店頭に置いてあった各メーカーのパンフレットをめくりながら、「こういうパンフレットとかに正確な説明が載っていますので・・・ちょっとお待ち下さいね、え~~と・・・」と調べ始めたんです。

幸いにして心の広い方で「面倒なことを質問しちゃってゴメンね、調べてくれてありがとう、焦らずゆっくりやってくれて良いよ」と言ってくれたので少しは助かったのですが、それでも内心すげ~~~焦りながら、頭の中はもうフル回転でパンフレットの中の「吸込仕事率」という文字を探しました。
で、掃除機のページの末尾の方に「※」付きで吸込仕事率の説明がついてたんです。

「※吸込仕事率=0.01666×風量(立方m/min)×真空度(Pa)で計算」

・・・・(・∀・)????・・・ナンノコッチャ

説明を見つけても、まったくナンのことかサッパリ分からない^^;
これじゃ、お客様に何も説明してあげられない(T_T)
と、途方にくれていたのですが、パンフレットめくりながら、その少し前に会社の先輩だったか、たまたま同期で入社した経験豊富な方だったか、とにかく誰かに「こういうパンフレットの数字のちょっとした差なんて、実際には体感じゃ分からないモンなんだよなあ・・・倍も違えば実演で納得してもらえるけど」と言われたのを思い出しました。

んで、もうとにかくお客様が納得できる回答をしてこの場は乗り切らなきゃ!と、こう答えたんです。

「お客様、吸込仕事率200Wと220Wというのは確かにカタログ上の数値としては差がありますが、体感的には多分お客様がなるほど10%違うな~とは認識出来ないと思います。
なので、選ばれる基準にこの数値の大小をあまり気にされるよりは、実際に展示品をコンセントつなげて動かしてみてその感触を確かめたり、あるいは吸い込み力以外の部分、重さだとか取り回し具合だとか、そういうものをポイントにされた方が良いと思いますよ」

まあ20年近く前の話なので、もちろん一言一句この通りではないとおもうんだけど、とにかくそんなような話し方で説明したら、なんとこのお客様、「あ、そうなのか、なるほど納得、良くわかったよ、ありがとう」と言って幾つか掃除機を試しにその場で使ってみて、その中から一つ購入して下さったんです・・・今にして思えば僕自身も「ホントかよ^^;?」と思うような話。

けれど、その時の体験がその後の僕の「接客」「販売」あるいは「マネジメント」「顧客価値」というものの考え方のベースの一つとなりました。
仕事だけじゃなく、プライベートでも、大きな価値観のひとつになっています。
そして、きっとこういう体験やこういう説明の仕方には賛否両論(というか否定の方が多いかも^^;?)あると思うんだけど、それでも僕はこのことから学んだことが、今の自分を自分たらしめている要素のひとつだと自認しています。

・・・ちなみに、吸込仕事率は未だに意味がよくわからない^^;・・・

と、まあオジサンのひとり言昔話でした、チャンチャン。

あ、この話にはひとつその後のエピソードがあります。
当時この売場の責任者だった先輩社員は、その後僕が配属された店舗の副店長となり、後に僕がそのお店の副店長となった時の店長となりました(つまり上司)。
で、その上司はこの売場での出来事を、少し離れたところからヒヤヒヤしながら様子を伺っていたそうです。
「岸本がいよいよ説明に窮したらフォローしてやらないと」と思いながら、どうなるか?どうなるか?と聞き耳を立てていたそうなんですが・・・

「こいつ!!!吸込仕事率のこと聞かれてんのに、その説明もできないのに・・・その説明せずに接客してお客を納得させた!しかも売っちまいやがった(@_@)!なんちゅーこっちゃ!」
と思いっきりびっくり仰天しつつ呆れ返ったんだそうです^^;。

んで、後に僕が副店長になった時にこの店長、開口一番に僕にこう指示しました。
「岸本、ウチの店の新人スタッフには、ちゃんと吸込仕事率のこと理解させてから店頭に立たせろよ?お前みたいなとんでもない接客するようなのをアッチコッチで育成されたらたまったもんじゃないからな」
・・・もちろん、居酒屋での笑い話ですが^^;。
その後、僕がこの量販店を退職して独立させて頂く直前まで約3年間、僕はこの上司に事ある毎に「吸込仕事率も分からずに掃除機売るやつなんだぜコイツ(笑)」とイジられまくりました・・・あ、いや退職後も3~4年くらいずっとイジられてたなあ・・・^^;

あとがき
いやいや、この記事「こういう接客ができる俺ってスゴイでしょ」ということを自慢したくて書いてるワケじゃあありません。(←そういう読み方をされるのは心外です^^;)
どちらかというと「ロクな知識も持たずに勢いでこういう乗り切り方してそれでイイと思ったらイカんのだよ」という自戒を込めて書いてるつもりです。

そうそう、50歳過ぎたら男がやっちゃいけないこと。
昔話、自慢話、説教・・・あ、昔話しちゃってるよ(汗)

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